大日本コンサルタント株式会社

 橋梁、道路、まち、国土防災等、多くの土木デザイン、設計を担当する建設コンサルタント(DNホールディングスグループ)。
 アーチ橋としては東日本最大の気仙沼大島大橋や気仙沼湾横断橋など、東北地方でも実績多数。生態系など自然環境保全に配慮した多自然川づくりも行っている。
 SDGs達成に貢献することを企業憲章に掲げ、気候変動への取り組みとして再生エネルギー事業を推進する株式会社 清流パワーエナジーの設立や名古屋市でまちづくり会社運営に参画しスマートシティ/コミュニティの展開を進めるなど、日本で一番信頼されるインフラサービス提供グループを目指している。


事例紹介

竹芝デッキ

 竹芝デッキは、東京湾に面するウォーターフロント竹芝エリアの再開発事業に合わせて計画された、JR浜松町駅と竹芝ふ頭の間約500mを直結するための2つの歩行者専用デッキです。2橋のうち、特にJR浜松町駅と新設オフィスタワーを結ぶ港歩行者専用道第8号線(橋長約240m、有効幅員6.0m)は、旧芝離宮恩賜庭園に隣接するなど、地域の景観形成上大きな影響が予想されたため、デザイン性を含めた総合的な観点から橋梁形式・形状等の検討を行う必要がありました。

デッキ鳥瞰

 上部構造は庭園内からの眺望に配慮し、桁は極力薄く存在感を小さくする一方、箱桁内における点検作業員の移動性の向上を図れる断面形状を模索した結果、下フランジが折れる五角形断面の採用に至りました。また、下部構造は極力圧迫感の小さくなる形状として、面を分割した六角形橋脚とし、上に向かって細くなるテーパーを設けることによりスレンダーで都会的な印象を付与しています。シェルターは歩行者の利便性や安全性に配慮して門型形式を採用し、歩行空間の明るさを確保しつつ強い日射を和らげられるよう、乳白ガラス屋根としました。その他にも、桁の板組みや接合方法などのディテールに至るまで、橋梁各部のデザインに配慮を行っています。

デッキ裏面と橋脚

デッキ上の歩行区間

 本プロジェクトでは、設計者として施工監理業務を継続して受注し実施することにより、設計時に想定した構造性能やデザイン等に関わる品質を施工段階においてもきちんと確保しています。本デッキが、まちのにぎわいを生み出す新たな歩行者ネットワークとして様々な場面で活躍することを期待しています。


中尊寺通り

 中尊寺通りは、岩手県平泉町に位置する、平泉駅から中尊寺の月見坂に至る路線です。平成17年頃より沿道住民によって自発的にまちなみ整備の方向性が議論され、平成22年度より、住民と協働する中で、中尊寺通りのあり方、デザインコンセプトおよびデザインについて検討してきました。世界遺産登録が決まった平成23年には、平泉町重要公共施設デザイン会議によって景観デザイン案が決定されました。弊社は、株式会社ワークビジョンズと10年以上に渡ってデザインの立案、各種協議運営、デザイン管理を行ってきました。

現在の施工状況

完成予想パース

 「平安の遺構を紡ぎ、時と人がゆるりと流れる日常へ」をデザインコンセプトとし、平泉駅から「中尊寺の参道」の雰囲気を徐々に色濃く表現した石畳舗装や植栽配置などにより、参道らしい「奥性」を演出します。その際に敢えて幅員中央に石畳を配することで、車線幅を狭く見せて譲り合いによる自動車の速度抑制を促し、快適な歩行者空間の実現を目指しています。現在は、施工者、発注者と連携しながら、デザイン案の実現に向けて、邁進しています。

植栽について施工者にレクチャーしている様子

 駅から中尊寺に繋がる参道として、沿道の方々の生活を支えながら、世界中から訪れる観光客をおもてなしする、ゆるりと時間の流れる日常の風景を創出します。


矢田川の自然かわづくり

 愛知県の中心部を流れる庄内川の支流である矢田川。元々河川整備計画の中で改修予定だった落差工(河床の洗掘を防いで河川の勾配を安定させるために、河川を横断して設置する施設)が、近年増大する洪水の影響で壊れ始めていたため、予定されていた改修に踏み切ることとなりました。この際に、川の治水機能向上だけでなく、そこに住む生物の生息環境を維持・創出し、訪れた人たちが川らしい風景を感じてもらえるような空間創出を目指した設計を行いました。  
 具体的には、元々の落差工では水が鉛直に1m近く落下し、水面の連続性が無く生物の移動が困難であったところを解消し、水面の連続性を保持したスロープ状の魚道設置と、石材同士の間に空隙ができるような石積みの根固めを設置しました。スロープには構造物を適切に配置することで、川自身の力による土砂の堆積・浸食を促し、その結果として瀬と淵が生成され、流速と水深が多様になり、生物が生息でき、またそれらが川を上り下りできる場所となりました。また、根固めのある河岸には植生が繁茂して、自然に近い川となりました。
 私たちはこのような、川の持つ力に少し人の手を加えて、川の力と人の力の調和を目指した川づくりを行っています。

1m近くある落差によって、水面の連続性が失われている(施工前)

水面の連続性を保持したスロープ状の魚道設置(施工後)

計画的な石の配置によって、流速や水深が多様になる(施工後)