本年度テーマ

「Pre-Coastruction」

 東日本大震災から10年が経過し、復興事業は大詰めを迎えている。10年を経て、被害や震災からの復旧・復興の実像が明らかにされつつある。特に復興時において散見された課題の多くは、人口減少や高齢化を前提としての復興であったことに起因する。人口減少下のまちづくりに対する事業制度も計画技術も明確に存在しない中で、まちを被災前よりも災害に強くすることだけでなく、地域の魅力を高めて将来的にも持続可能にすることを、両立しなければならなかった。
 その点、巨大な海岸構造物はまちの安全性を高める一方で、地域に固有の生業や景観など地域の魅力を阻害しかねない。特に防潮堤に関する議論はメディアで数多く取り上げられてきた。そのような中、東日本大震災の復興では、土木デザインや土木・建築の横断的な取り組みによって、安全性と魅力の維持・向上の両立を目指した新しいアプローチが見られたのも事実である。
 このような新しい取り組みは、自然災害が多発・激甚化する中で、人口減少時代に突入した日本のこれからのまちづくりの萌芽であると言える。

 さて、今後起こるとされる南海トラフ巨大地震は先の巨大地震の被害を大きく上回ることが想定されている。東日本大震災の復興で見られた事業集中による建設コストの上昇や時間の経過の中で、住民の防災意識の変化などを目の当たりにしたことで、今後被害が想定される地域での減災を目指す「事前復興」の取り組みが進められている。復興時の課題は決して新しい問題が突如現れるのではなく、被災前からその地域にあった問題が時間を早めて深刻化して現れる。つまり、地域には被災前から復興の課題があり、人口減少や被災を見越した平時のまちづくりにおける準備や経験の積み重ねが重要となる。

 以上のことから、今後被害が予想される沿岸地域において、安全と地域の魅力の維持・向上の両立を土木デザインによって解決することを目指し、人口減少時代におけるこれからの新しい海岸空間のあり方をテーマとする。


評価の観点

・時代を踏まえた海岸空間の理想像の広がり
・海岸空間の理想像に対する、土木構造物または土木施設を中心とした、ハードに主眼を置いた提案の具体性と現実性
・提案がテーマに即しているか
・提案がもたらす沿岸地域の持続可能性

これらを総合的に評価する。


設計条件

・海岸空間中心の提案であること。
・海岸空間の利活用に対する、土木構造物または土木施設を中心とした、ハードに主眼をおいた提案であること。
・原則海岸法等の諸法律を遵守すること(逸脱する場合は、その箇所及び理由、実現のための方法等を併せて明示すること)。
・テーマに沿う都市を対象として選定し、選定理由と併せて明示すること。
・実在する敷地を対象として明示すること。
・地質調査や構造計算は求めないが、構造の現実性は確保すること。


対象者

・2021年4月1日現在、大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専門学校・高等学校に籍をおく学生、もしくは経験年数5年以下の社会人であること。なお、景観開花。実行委員会および審査委員の関係者の参加を妨げない。一次審査は公平を期すため匿名で審査を行う。
・上記条件を満たす人物によるグループでの応募も可とする。
・オンラインでのWeb会議ツールを用いて遠隔開催される公開最終審査会に参加できること。作品提出時点で参加を確約できない場合、入選の対象外とする。


提出物

以下を提出物および提出条件とする。締切日までに「(2) 模型」を除く4点すべてを提出したもののみ、審査対象とする。

(1) パネルデータ
提案の意図を表現する図面および説明文を記載したもの。A1サイズ片面1枚に収まるよう作成し、パネルデータをPDF形式としたもの。応募者に別途案内する作品データ提出フォームからの提出を求める。
<ファイル名>
応募登録時に交付されるエントリーNo.をファイル名の先頭に使用し、「〇〇パネル.pdf」とすること。
例:「00パネル.pdf」

(2) 模型
提案の意図をよく表現する縮尺により作成したもの。個数は問わないが、展示に要する空間は一辺が1mの立方体に収まること。最終審査へ進出した場合に作成した模型の提出を求める。

(3) 模型写真データ
模型の意図をよく伝える構図で撮影した、JPEG形式の写真データ。枚数は1枚以上5枚以下とする。応募者に別途案内する作品データ提出フォームからの提出を求める。
<ファイル名>
応募登録時に交付されるエントリーNo.をファイル名の先頭に使用し、「〇〇写真□/△枚目.jpg」とすること。
例:「00写真1/5枚目.jpg」

(4) 動画データ
パネルや写真では表現しきれない情報を伝える30秒以内の映像。一次審査において利用する。ファイル形式はMP4形式とする。応募者に別途案内する作品データ提出フォームからの提出を求める。
<ファイル名>
応募登録時に交付されるエントリーNo.をファイル名の先頭に使用し、「〇〇動画.mp4」とすること。
例:「00動画.mp4」

(5) 作品概要データ
一次審査時に使用する100文字以内の作品の概要。応募者に別途案内する作品データ提出フォームに直接入力すること。

一次審査は公平を期すため匿名で審査を行うため、すべての提出物に氏名や所属先を明記してはならない。


その他

・応募作品は未発表のものに限る。
・応募作品は1エントリーにつき、1作品に限る。
・エントリーは1人につき、1エントリーに限る。
・応募作品の著作権は、応募者に帰属する。
・主催者および実行委員会は、本企画の主旨の範囲内で、著作権者名を明示のうえで、報告書、記者発表資料、作品集、Web等を通じて、応募作品および提案されたアイデア、情報、データ等を公表できるものとする。
・課題に対する質問は受け付けない。規定外の問題は応募者の自由決定とする。


募集要項

本年度募集要項はこちらよりダウンロードしてください。


エントリーフォーム

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